日本の医療は、数々の医療制度の改革と共に多くの発展を遂げています。
その反面、経済的、倫理的、顧客サービス等で様々な問題が発生しており、医療、取り分け臨床検査を志すものにとって、困窮を極めているところです。それこそ、人員配置、採算性、効率化、高度化、利便性と数多くの言語に圧迫されながら、鋭意工夫を極め、毎日の業務に当たっているのが本音ではないでしょうか。
この様な背景の中、如何にして臨床検査室を上手に運営していくか、何か良いツールはないか、という悩みに上手くマッチしたのが品質マネジメントシステムです。
このマネジメントシステムは、公益財団法人日本適合性認定協会(JAB)によって2002年に臨床検査室認定制度として開発が始まり、2004年に入りパイロット認定審査が行われ、今年で20年の歳月を迎えました。この間、いわゆる「ISO 15189臨床検査室-品質と能力に関する要求事項」は、2007年版、2012年版そして本年2022年版と3回に渡る改定が進み、その要求事項も時代にマッチし大きく変化を遂げて参りました。
本制度を管轄するJABの尽力で、認定施設は現在300施設を超えており、この認定制度の取得あるいは取得への取り組みが、臨床検査に与える影響は益々増して来ています。
一方、尿一般検査、血液・生化学的検査・微生物学的検査などの検体検査が中心であった認定範囲は、病理学的検査、生理学的検査、遺伝子染色体学的検査とその範囲を広げ、臨床検査を俯瞰する形となっています。この様な状況下で、如何にして規格であるISO 15189の要求事項を理解しその内容を深め、日々の臨床検査の現場に生かしていくかが、臨床検査の健全経営に繋がる鍵と言っても過言ではありません。
一般社団法人国際規格臨床検査室マネージメント協会(ICMA)は、この重要な課題に取り組むため、臨床検査に関わる多くの方々からの声を力に設立いたしました。
この活動により、全世界と共有するISO 15189規格が深く理解され、日本の臨床検査の品質が、顧客のニーズに即した真の意味での経済的、倫理的、顧客サービスに資することを願うものです。
敬具
一般社団法人国際規格臨床検査室マネージメント協会(ICMA)
理事長 小沼 利光